小花仙 日本語訳

中国アニメ「小花仙」を個人の趣味で日本語に翻訳しています。

小花仙第2季37話 金色の光の中の闇

 

ご注意!!

次の二点につきまして、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

※こちらの日本語訳は個人が趣味で行っているものであり、公式とは一切関係ありません。

※素人の翻訳のため、訳し間違い、読みづらい点もあるかと思います。参考程度に考えていただけると幸いです。

 

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小花仙第2季第37集 金色光芒中的黑暗

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【大雑把なあらすじ】

舞台は千年前の精霊王国。金色の王子マンダーはその美しい姿で多くの精霊たちを魅了していた。また、未来の精霊国王であり強大な力を持つ彼を、自分の守護精霊にしたいと願う者も多かった。

 

ある日、古霊仙族の王子アーサーと勇気国の王子サマルが精霊王国に遊びに来た。サマルは自分と守護契約を結ぶよう願い出るが、マンダーから出された条件は、今まで誰も抜いたことのない王剣【王子の証】を抜くことだった。サマルは喜んで挑戦したが、どんなに頑張ってもその剣はびくともしなかった。マンダーと契約を結べる者などいないと誰もが思ったその時、事の成り行きを見守っていたアーサーがいとも簡単に抜いてしまった。驚いたマンダーであったが、約束通りアーサーと“永遠の守護契約”を結び、彼の守護精霊となった。

 

しかし、黒薔薇男爵メリメは心中穏やかではなかった。彼はずっと近くでマンダーを守ってきた人物である。もともと高貴なマンダーが守護精霊になることに反対であった彼は、ショックのあまり闇に堕ちてしまう。また、この事件と前後して、彼は“自分の心の闇の声”を聞いていた。“金色は闇の中でこそより美しく輝くもの。金色は闇のものであるべきだ”という妄想である。この妄想に取りつかれた彼は、古霊仙族を根絶やしにし、マンダーを精霊国に取り戻そうとした。

 

それから千年後。暗黒魔神の呪いを受けて瀕死の状態のククルに、メリメは留めを刺そうとしていた。しかし、マンダーは自分の力の全てを使ってククルを守り切った。しかし、そのためにマンダーは美しい金色の姿から闇の色へ変わってしまった。

 

【日本語訳】

(ナレーション)

美しいラベル大陸は花の国。ここで花の精霊たちが命を紡いできました。神秘の力が眠るこの土地は、古より続く三つの王国に守られています。しかし、ラベル大陸の雲の上にもう一つ、精霊王たちの住む国があることを知る人は多くありません。その国の王子マンダーは国民たちから愛された未来の国王で、彼の眩いばかりの輝きは全ての花の精霊を魅了してやみませんでした。

 

千年前の精霊王国。

ラベル大陸での争いを嘆く精霊王たち。

マンダー「争い…」

雪蓮花精霊王「どうやら事の発端は風沙国のようです」

マンダー「戦争…。凡人たちは目先の私利私欲にばかり目を向ける。なんて浅はかな」

蔵紅花精霊王「王子、そちらの件はすでに国王陛下が片付けられました。国王陛下は【伝承星魂】を三つに分け、それぞれ古霊仙族、勇気国、風沙国の継承者たちに与えました。」

マンダー「平和であってこそ、信仰は求められるものだ」

蔵紅花精霊王「おっしゃる通りです。しかし…」

マンダー「何だ?」

雪蓮花精霊王「三国の使者たちはみな精霊王国の祝福を受けることを願っています。王族の中で力のある精霊王と契約を結びたいと思っているのです。特に貴方とです」

雪蓮花精霊王の言葉に考え込むマンダー。

 

そこに黒い花びらを舞い散らせながら、黒薔薇男爵メリメが現れた。

メリメ「痴れ者の戯言だ!」

蔵紅花精霊王「黒薔薇男爵…」

メリメ「私の美しいマンダー王子。貴方があのような強欲な凡人どもと契約を結ぶはずなどございません。身の程知らずにも程がある。精霊王族は彼らにとって神であるべき存在。もし、彼らが言うことを聞かぬというのなら…」

マンダー「もうよい。ラベル大陸と精霊王国は共生共存の関係だ。そのような話は聞きたくない」

不遜な態度のメリメの言葉を遮り、マンダーは蔵紅花精霊王、雪蓮花精霊王と共にその場を後にした。

 

メリメ「マンダー殿下、破滅に導く金色の光…」

立ち去るマンダーの後姿を睨みつけながら、メリメは意味ありげな言葉を呟いた。

 

場面は変わって闇の世界。

どこからともなく不気味な声が聞こえてくる。

闇の声「金色の輝きは闇の中でこそ、その美しさを際立たせる。金色は闇のものであるべきだ…」

メリメ「誰だ?!ここはどこだ?!」

闇の声「ここはお前の心。お前の心が私を呼んだのだ」

闇の言葉に震えるメリメ。

メリメ「消え去れ!よくもそのような事を!」

闇の声「お前はもっと自分の心に素直にあるべきだ。私はいつでもお前からの呼びかけを待っているぞ。ハハハハハハ…」

 

メリメ「金色は闇のもの…」

闇の声が消え、元の世界に戻るメリメ。しかし、闇の誘惑は彼の心から消えなかった。

 

場面は変わって、精霊王国の庭園。

古霊仙族の王子アーサーと勇気国の王子サマルが遊びに来ている。庭園を散歩していた二人は台座に刺さった美しい王剣を見つける。

アーサー「あれは何だ?」

君子蘭精霊王「【王子の証】です。アーサー殿下」

アーサー「王子の証…」

君子蘭精霊王「はい。古の闘神の剣だと伝えられています。本当の王者の心を持った勇士だけがあの剣を抜くことができ、永久の平和をもたらすそうです」

アーサー「本当の王者の心…」

サマル「私は勇気国一の勇士であり、未来の国王だ。どうやらあの剣は私のために用意されたもののようだな」

言うやいなや、王剣のもとに飛んで行くサマル。後を追うアーサーと二人の精霊王。

サマル「どれどれ…」

台座に突き刺さった王剣の前で自信ありげなサマル。しかし、どんなに頑張っても、王剣はびくともしなかった。

荼毘花精霊王「あはは。サマル殿下、どうやら貴方はその剣の主人ではないようですね」

サマル「このガラクタが!私を馬鹿にしやがって!」

抜けない剣に腹を立て、魔法で壊そうとするサマル。

 

マンダー「やめなさい!」

次の瞬間、サマルの体は地面に叩きつけられた。

サマル「誰だ?!私が誰か知って…」

怒りの収まらぬサマルが上を向くと、そこには金色の光に包まれた美しい王子が立っていた。

アーサー「君は…」

君子蘭精霊王、荼毘花精霊王「マンダー殿下、ごきげんよう

アーサー「金色の曼荼羅王子…」

マンダー「親愛なる客人たち、精霊王国の美しい花園をゆっくりお楽しみください」

サマル「待て!貴殿は金色の曼荼羅王子か?」

先ほどまでの怒りを忘れ、嬉しそうに近づくサマル。

マンダー「ごきげんよう。勇気国のサマル王子」

サマル「ちょうどよい。私は貴殿と“永久の守護契約”を結びたい」

かましいサマルの言葉を聞きつけ、メリメが現れる。

メリメ「思い上がるのにも程がある!マンダー殿下が貴殿たちのような俗人と契約を結ぶはずがない!」

サマル「誰だお前は!これがお前ら精霊王国の客人へのもてなしか!それに、お前たちの国王は金色の曼荼羅王子が守護精霊となることに承諾したはずだ。お前らの国王は嘘つきか?!」

メリメ「ならば、私が貴殿に精霊王国の掟を教えて差し上げよう」

一触即発の二人。そこにマンダーが仲裁に入る。メリメをいったん引かせ、アーサーとサマルに自分との守護契約の条件を提案する。

マンダー「父王が承諾した以上、こうしましょう。私は【王子の証】を抜いた者と“永久の守護契約”を結びます」

マンダーの提案にほくそ笑むメリメ。それはいまだかつて成し得た者のない、不可能ともいえる条件だったからだ。

メリメ「フフフ。誰も王子の証を抜けやしまい。金色は闇の…」

しかし、メリメの期待を裏切り、無情にも王子の証は抜かれてしまう。

メリメ「何故?!」

あっけにとられるマンダーとメリメ。王子の証を抜いたのは、ただ静かにことを見守っていた古霊仙族の王子アーサーだった。

荼毘花精霊王「まさか!千万年来、誰も抜いた者はなかったというのに。ついに…!」

アーサー「なんと美しい…」

剣の美しさに見とれるアーサー。マンダーとの守護契約のことなど、気にも留めてないかのようだ。しばらくアーサーを見つめていたマンダーだったが、フッと微笑むとアーサーの元に近づいた。

メリメ「マンダー殿下…。貴方は…」

状況が理解できないメリメ。しかし、茫然とするメリメをよそに、マンダーはアーサーに恭しくこう告げた。

マンダー「親愛なるアーサー殿下。私、マンダー・ガブリエルは貴方様と永久の守護契約を結びます」

王子の証を手にしたアーサーは、マンダーの誓いの言葉に笑顔でうなづいた。

 

場面は変わって、かつて見た闇の世界。

あの日と同じ声がメリメの心に再び呼びかける。

闇の声「金色は闇のものだ。私にはお前の憎しみがわかる。古霊仙族とあの王子を永遠に葬り去ってやる。早く来い。私がお前の望みを叶えてやろう。早く闇の中に堕ちて来い…」

あまりの屈辱に苦悶の表情を浮かべるメリメ。

メリメ「金色は闇のものだ…。闇こそが金色を最も美しく輝かせることができる。なぜ?どうして?古霊仙族を滅ぼしてやる、アーサーを殺してやる、私のものにならない金色の曼荼羅を破滅させてやる!!!アハハハハハハハハーーーーー!!!!!」

気が触れたかのような笑い声とともに、メリメは闇の中へと堕ちていった。美しい黒髪は赤に染まり、金色に相応しい高貴な黒は邪悪な赤へとその姿を変えた。

 

場面は変わって、千年後の古霊仙境。

アーサー亡き後も古霊仙族の末裔、ククルを守り続けるマンダー。しかし、ククルは邪悪な魔法にかかり瀕死の状態である。

マンダー「ククル、しっかり!」

そこにメリメが現れる。

メリメ「マンダー殿下。千年ぶりですね。やはり貴方は美しい…」

マンダー「メリメ!何故!!」

メリメ「暗黒の闇だけが貴方の金色の輝きにふさわしいのです。この無能な古霊仙族を貴方は千年も守ってきました。しかし、それも今日で終わりです。この世に古霊仙族が存在しなくなるからです」

マンダー「ククル!」

ククルを心配するマンダーをよそに、うっとりと言葉を続けるメリメ。

メリメ「その王子は暗黒魔神様が雅加様に授けた黒魔法の餌食となり、もうすぐ死ぬでしょう。千年の暗闇の中、私はこの日を待ち続けました。なんと酔いしれる一時でしょう。マンダー殿下、マンダー殿下!もうすぐ貴方は“永遠の守護契約の鎖”から解放されるのです。嬉しいでしょう…!」

マンダー「古霊仙族を消滅させたりなどしない。私はアーサーと約束したんだ…」

涙を流しながら覚悟を決めるマンダー。

メリメ「何をなさるのです?!」

マンダーの体が強い金色の光に包まれる。

メリメ「いけません!こんな小僧を救うために、貴方は全ての力を使う気ですか?!止めてください!!」

祈るようなメリメの制止の言葉も虚しく、金色の曼荼羅王子は闇の色へとその姿を変えた。

 

 

【続く】